第35話 連続の無断欠勤

 

歯科衛生士・金田幸恵が無断欠勤をして今日で5日が過ぎた。朝礼で院長春山が金田をしかったことが原因なのか。それとも何か事件にでも巻き込まれたのか。携帯に何度電話しても出ない。常に3カ月先まで衛生士リコール枠がいっぱいの春山歯科医院では、ほかのスタッフが休日を返上して患者対応に追われている。最初の数日は心配こそしたものの次第に腹立たしく思えて仕方ない。よほどの理由以外、電話くらいできる。無断欠勤は社会人として最低の行為だ。果たして相応の理由がない場合、懲戒解雇にすることは可能だろうか。

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 結論から言うと5日の無断欠勤で解雇は時期尚早。合法的に解雇とすることができる解雇予告除外認定が認められるのが14日間の無断欠勤とされる。ただし、ここで新たな問題が浮上する。解雇は相手方にその意思表示が到達して初めて有効になる。連絡が取れない相手に意思表示の到達を確認するのは容易ではない。確実な手段は裁判所の公示送達だ。これで本人が見ようと見まいと14日間経過後に到達したことになる。つまり14日の無断欠勤後、さらに14日を要する。何とも長い期間、医院としても不安定で不毛な雇用関係を強いられる。

 そこで、それを解決するのが以下の方法だ。解雇ではなく、14日間の出勤督促にも応じなかった場合、出勤してこなくなった日に遡及して退職扱いにするのだ。これで公示送達の費用や手間を抑えられるばかりか、日にち次第では健康保険料の支出も減らすことができる利点がある。重要なポイントは、手を尽くした跡を綿密に証拠として残しておくこと。電話の発信記録、本人宅への訪問、出した手紙等を時系列に記録することもお忘れなく。最重要ポイントは無断欠勤時の対応を就業規則に記載周知すること。無断欠勤のカウント14日は暦日ではなく、勤務日ということにも注意が必要だ。