第27話 給料改革の問題点

 春山歯科医院は今年の4月から大幅な給与改革を行う予定だ。スタッフは5人。全員が歯科衛生士で、ツートップは10年目と7年目の大ベテランだ。
 毎年5千円ずつ自動的に昇給と決めていたことから、基本給は年々上がっていき、賞与も年2カ月が慣例となっていて、今更下げるわけにもいかず、春山は頭を抱えていた。もちろん、現段階では払えないわけではないのだ。ただ、これから先もそれが続く保証はない。
 (何とかして膨らみ続ける人件費を抑制しなければ…)
 春山の改革案はこうだ。
 全員、基本給を「一律5万円」に決める。10年目の歯科衛生士はこれまで「基本給26万円・資格手当3万円」だったが、改定後は「基本給5万円・資格手当24万円」とし、賞与は「年間10万円」とする。
 現在の月給支給額は維持するつもりだ。つまり、毎月の賃金レベルは変えることなく、賞与を大幅に切り詰める方法だ。
 これで年間200万円以上の削減が見込める。果たして、これは許されるのであろうか。
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 結論から言えば、固定賃金が「最低賃金(東京は現在837円)に1カ月の所定労働時間をかけたもの以上」であれば、労基法においては問題ない。つまり、精皆勤手当、割増賃金、家族手当、通勤手当等を抜かした金額で先述の基準を満たしていることが第一条件だ。
 次に懸念されるのは、これが「不利益変更」に該当するかどうか、だろう。ここでは、賞与が大幅に減額となることが従業員にとっては最大の問題だ。該当する場合、個人の同意書を取ることが必要になってくる。
 しかし本来、賞与は売り上げの分配的な要素が高く、「賞与は基本給1カ月支給する」等を就業規則で明確に断言していなければ そもそも不利益変更には該当しない。
 ちなみに、求人広告の記載は労働契約ではないことも覚えておかれたい。

日本歯科新聞1729号(2012/2/7)