第15話 パート雇用で140万円

 院長春山は、朝から上機嫌だった。
 昨夜、同業の集まりに出た際に、大学の後輩から耳寄りな情報を聞いたからだ。
 彼の経営する歯科医院では、このままいくと合計で140万円もの助成金がもらえるそうだ。聞けば、パート社員を使っているなら活用できる可能性が高いという。春山歯科医院でも昨年からパートで歯科衛生士を採用し始めたところだ。果たして春山歯科医院でも、その助成金がもらえるのだろうか。
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 正式名は「短時間労働者均衡待遇推進等助成金」という。
 正社員のほかにパート社員を一人でも雇っている、もしくはこれから雇おうとしている医院には朗報と言える。これまで正社員ではないという理由で、パート社員の処遇等を決めることを放置していたなら、とうに見直す時期に来ていると言える。以下、活用例を挙げる。いくつか併用することで助成金額も大きくなる。
 1.正社員と共通の評価・資格制度を導入。2回に分けて60万円。
 2.正社員への転換制度の導入。2回に分けて40万円。
 3.健康診断制度の導入。2回に分けて40万円。(延べ4人以上対象者が出たこと)
 支給申請ができる事業主の要件は、(1)労働保険に加入している。(2)正社員がいること。(パート社員だけでは適用外)(3)新しい制度を就業規則または労働協約にし、それから2年以内に対象者が出ること。(4)上記1.の対象パート社員の2分の1以上が雇用保険に加入していること。(5)上記2.で正社員に転換した者を雇用保険・社会保険に加入させること。(6)2回目の支給申請は対象のパート社員が6カ月後も継続して雇用されていること。
 このように要件だけを見るとハードルが高そうに感じるかもしれないが、評価・資格制度導入の内容を決めること以外は、実は既存の法律どおりだということに注目してほしい。例えばパート社員を雇用保険に加入させているところは少ないが、実際1週間の所定労働時間が20時間以上であること、また31日を超える期間を雇うのなら、加入義務がある。

日本歯科新聞1679号(2011/1/18)